PGT-M
重篤な単一遺伝子変異を持つカップルの受精卵を解析することで、遺伝性疾患を持つ子供を出産するリスクを軽減するために行われる遺伝子検査です
PGT-Mとは?
妊娠前にPGT-Mを実施することで、重篤な遺伝子疾患を保因されているカップルが、罹患した子供を持つリスクを大幅に減らすことができます。
単一遺伝子疾患に関する検査のPGT-Mでは、体外受精(IVF)で得られた胚を検査し、影響のない胚を移植します。
PGT-Mは、以前はPGD(preimplantation genetic diagnosis)と呼ばれていました。
*2021年8月現在、日本国内では本検査サービスの提供はしておりません。
PGT-Mの対象者
PGT-Mは、特定の単一遺伝子疾患を有する子供を出産する可能性のある患者様に適した検査です。
以下のような場合、PGT-Mを検討することができます。
*下記は日本以外の国や地域でのケースです。日本においては、日本産科婦人科学会の
「着床前診断」に関する見解に従います。
- 患者様自身とパートナーが、同じ常染色体劣性疾患(嚢胞性線維症など)の保因者である。
- X連鎖性疾患(デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど)の保因者である。
- 患者様自身またはパートナーに常染色体優性疾患(Huntington病など)がある。
- 患者自身またはパートナーに遺伝性がん症候群に伴う突然変異を有する場合(BRCA1、BRCA2など)
- 単一遺伝子疾患を持つお子さんがいるか、そのようなお子さんを妊娠したことがある。
- ヒト白血球抗原(HLA)マッチングを希望している。
検査の仕組み
PGT-M検査は、それぞれの家系に合わせて準備が必要な検査です。家族性変異が特定されており、
検査のために該当するご家族の協力が得られれば、ほぼすべての単一遺伝子疾患に対して実施することができます。
PGT-Mは99%を超える遺伝
性の単一遺伝子疾患に対して
実施が可能です。
PGT-Mは99%を超える精
度で発症なしの胚、保因者
となる胚、発症ありの胚を
特定することができます。
*CooperGenomics社 社内データ
PGT-Mの過程
1. 症例の検討
移植前に遺伝カウンセラーと相談し、カップルや他のご家族を対象とする追加の遺伝子検査が必要かどうかを話し合います。
2. PGT-M検査の準備
PGT-Mの検査施設が、各家系に適した検査準備を行います。
3. IVF
体外受精を行い、得られた胚を培養します。
4. 胚生検
エンブリオロジスト(胚培養士)が少量の細胞検体をそれぞれの胚から慎重に取り出します。
5. PGT-M
生検検体はPGT-Mの検査施設に送られ、検査が行われます。検査結果はIVFの実施施設に送られます。
6. 胚移植
検査結果を元に、患者様と医師が移植胚を決めます。移植しなかった胚は、将来のために凍結保存することができます。
PGT-Mの技術
PGT-M検査では、それぞれが持つ突然変異と、その周囲の染色体領域(右の図では、各染色体の色付きの部分)の両方を詳しく調べます。PGT-M検査は、それぞれのご家族に固有のものであるため、検査計画を立てるためには、パートナーの両方と、多くの場合では他のご家族のDNAの採取が必要となります。その後、連鎖分析を用いて変異の「遺伝子の指紋」を特定し、検査された各胚が罹患しているかどうかを判定します。